ジャン=ミシェル・フォロンが残してくれたもの
by folonium
カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2024年 02月 09日
画像1:フォロンの絵皿、2001年制作:[作品名]Les Etoiles de l'Hôtellerie 2001,[サイズ]Φ280mm,[技法]Céramique,[製造]Pillivuyt, Muhun-sur-Yèvre dans le Cher
以前フォロンがデザインを担当した、フランスのホテルやレストランの業界紙『Le Journal de l'Hôtellerie』の主催で毎年開催される、ミシュランガイド(Le guido Michelin)で新しい星を得たレストランを称えるフランス料理界の恒例のイベントである(Les étoiles de l'hôtellerie/(The stars of the hotel business)の2001年のセレモニーのメニュー(注1)を取り上げたことがありますが、それと同じイメージを使った絵皿を入手することができました。世に知れたポスター作家であるフォロンに依頼となれば、通常セレモニーを記念するポスターの制作となるところでしょうが、セレモニーが食に関するものであるという性格から絵皿の制作となったのかもしれません。絵皿は、フォロンの水彩による原画をもとに、磁器ならではの透明感のある軽やかな色調で仕上げられています。制作枚数は特に明記されていませんが、おそらくセレモニーの出席者向けに作られたものではないかと思われます。もしそうであればメニューと同じ330枚となります。
この絵皿の存在はベルギーの出版社(Kimera-Editions, Bruxelles)から2013年に刊行されたフォロンのバイオグラフィー「Folon - La Vie est un Voyage」によって知ったのですが、探してもなかなか見つかりませんでした。これまでに何度かフランス国内のパブリック・オークションに登場したことがあるようなのですが、手放す人が少ないのか、市場に現れることは滅多(!)にありません。今回入手した絵皿はフランスで食器を扱っている業者が数年前からネットで販売していたものなのですが、予算が合わず、ずっと眺めているだけでした。が、折角手元にメニューがあるのだからと、手持ちのポスターを手放して購入と相成りました。 画像2:題名「Les Etoiles de l'l' Hôtellerie 2001」 画像3:フォロンの版上サイン 画像4:裏面 画像5:絵皿の製造は1818年創業のフランスの磁器メーカー、ピリヴィッツ(Pillivuyt)で、業務用食器として一流のレストランやホテルで使われており、また丈夫で壊れにくい食器として一般家庭でも広く愛用されているとのこと。
注:
1.フォロンがデザインした「Les étoiles de l'hôtellerie2001」のメニュー
画像6:フォロンのメニュー、2001年制作:[作品名]Les étoiles de l'hôtellerie 2001,[サイズ]420x296mm(A3),[技法]Offset,[紙質]Arches,[限定]330,[出版社]Le Journal de l'Hôtellerieet Restauration, Paris,[刷り]Unknown
このメニューはフランスのホテルとレストランの業界紙である『Le Journal de l'Hôtellerie』の主催で毎年(?)開催される、"Le guide Michelin"(ミュシュランガイド)で新しい星を得たレストランを称えるフランス料理界の好例のイベントである《Les étoiles de l'hôtellerie》の2001年度のセレモニーのメニューとしてフォロンがデザインしたものです。先ずこれを見て、フォロンの描いた一皿がメニューに載っている料理と関連性があるか否かは、フランス料理に造詣があるわけでもないので、判りませんが、フォロンが皿に盛られた四つの星の料理を使って示しているのは、そのセレモニーにおいて顕彰されたのでしょうか、皿の下に記された名前を見て分かるように、フランス料理界の星とも言えるミシェル・ゲラール(MichelGuérard, 1933-)、アラン・デュカス(Alain Ducasse, 1956-)、ロジェ・ヴェルジェ(Roger Vergé, 1930-2015)、ダニエル・ブールー(DanielBoulud, 1955-)という四人の三ツ星料理人です。ここでも赤と青を基調色とするフォロンらしい画面作りがされていますが、水彩絵の具の滲みを利用して作られた淡い諧調は、人の手の温もりを感じさせると共に、色彩の調和である料理を象徴的に表していると見れなくもありません。
2024年 01月 24日
フォロンのピンズ、1988年制作:[作品名]Folon Swatch Pins Voir,[サイズ]25x23mm,[発行]Swatch, Biel, Switzerland
スイスの腕時計メーカー、スウォッチ(Swatch, Biel)が発行したフォロンの三種類のピンズのうちのひとつ「Voir(見る)」(注1)。スウォッチが1985年から始めた「Swatch Art Special」シリーズのひとつとして1986年のキース・ヘリングに次いで1987年に発表されたフォロン デザインの三種類(Voir, Le Temps, Perspective)の腕時計の文字盤を象ったもので、時計と比べると、かなり暗い色調で仕上げられています。
注:
1.フォロンが文字盤をデザインしたスウォッチ「Voir」( GZ109 No1, 1987) Φ33mm
2024年 01月 09日
ベルギーの蒐集家に今年日本でフォロン展が開催されると知らせたところ、ベルギーのブリュセルでは2月から9月にかけて四つ(?)のフォロンの展覧会が開催されるとの情報が寄せられました。フォロンの包括的な展覧会ではなく開催地それぞれに特化した内容で行なわれるとのことです:
●Musee Magritte(マグリット美術館)Magritte - Folon:2024年2月21日ー7月21日
●Maison Autrique(The Autrique House/オートリック・ハウス) Folon - Insolite:2024年3月20日ー9月29日 ●Design Museum Brussels(デザイン美術館ブリュッセル)Olivetti - Folon: 2024年4月10日ー9月15日 ●Sculptures Walk(?)
ブリュッセルのデザイン美術館で開催されるオリベッテイ社とフォロンとのコラボレーションに関する展覧会は既に2021年12月から2022年3月にかけてオリベッテイ社の工場があったイタリアのイヴレーア(Ivrea)にあるピア・アレッサンドロ・ガルダ市立博物館(Museo Civico P.A. Garda, Ivrea)で開催(注1)されていますが、今回もその美術館とオリベッテイ社の歴史資料協会(Museo Civico Garda et l’Associazione Archivio Storico Olivetti à Ivrea, Italie)の協力のもと開催されるとのこと。
注:
1.イタリアのイヴレーアで2021年12月から2022年3月にかけて開催されたフォロン展「Olivetti e l'arte: Jean Michel Folon(Exhibition from December 11, 2021 to March 27, 2022, Museo Civico P.A. Garda, Ivrea)」では図録が刊行されています。 図版:フォロン展の図録『Olivetti e l'arte: Jean-Michel Folon』(Museo Civico Garda, Ivrea), 342x245mm, 112 pages, 254 plates.
2023年 12月 10日
先日、東京ステーション・ギャラリー(Tokyo Station Gallery, Tokyo)が来年度の展覧会のスケジュールを発表しました。それによると、没後20年に因んでフォロンの大規模な展覧会「空想旅行案内人:ジャン=ミッシェル・フォロン(仮称)」が2024年7月17日から2024年9月23日にかけて開催予定とあります。この展覧会は来年以降に開催されるフォロンの大規模な展覧会の第一弾となるのでしょうか、とすれば、このあとどこかの美術館に巡回する可能性が高いと思われます。
画像1:1974年に毎日コミュニケーションズから刊行された日本語版の「La mort d'un arbre(邦題:木は死んだ)」松原俊郎訳、280x358mm。この画集は日本で刊行されたフォロンの唯一の画集です。フォロンの大規模な展覧会の開催を受け、図録とは別に新たな画集が刊行されるのを期待したいと思います。
画像2 画像3
当画集は、今からおよそ半世紀前の1973年から1974年にかけて伊、独、英、仏、日の五カ国共同出版により刊行されたフォロン最初の大型画集です。日本語版以外の初版には序文としてマックス・エルンスト(Max Ernst, 1891-1976)のオリジナル・リトグラフが挿入されています。1976年には第二版が刊行されていますが、そちらにはマックス・エルンストのリトグラフは挿入されていません。
画像4:マックス・エルンストのリトグラフ、1973年制作:[作品名]Unknown,[サイズ]280x357mm,[技法]Lithograph,[紙質]Arches,[刷り]Pierre Chave, Vence
それぞれのタイトルは以下のとおりです:
(伊語版)「La morte di albero」(Alice Editions, 1973, Ed.1000)
(独語版)「Ein Baum stirbt」(Alice Editions/Weber Genf, 1974, Ed.1000) (英語版)「The Deathe of a Tree」(Alice Editions, 1974, Ed.1750) (仏語版)「La mort d'un arbre」(Alice Editions, 1973, Ed.3500) (日本語版)「木は死んだ」(Alice Editions/Mainichi Communications, 1974, Ed.1000?)
----------------------------------------------------------------------- 2023年12月30日追記: 既にご存知の方もおられると思いますが、やはりフォロン展は巡回するようです: 2025年1月~3月:名古屋(会場:愛知県立美術館?) 2025年4月~6月:大阪(会場:大阪・関西万博・ベルギー館?)
2023年 10月 28日
画像1:フォロンとトポール二人展の図録、1972年制作:[作品名]Folon and Topor,[サイズ]203x205mm,[技法]Offset,[出版者]The Arts Club of Chicago, Il,[印刷]Unknown
フォロンは1969年にニューヨークのルフェーブル画廊(Lefebre Gallery, New York)でアメリカで最初の個展を開催しましたが、その三年後の1972年に再びルフェーブル画廊で二度目の個展を開催するとともに、シカゴで最初の展覧会を国際的な美術作品を展示する公共のスペース「アーツ・クラブ・オブ・シカゴ(The Arts Club of Chicago)」で1960年代からの友人ローラン・トポール(Roland Topor, 1938-1997)と二人展を開催しています。この展覧会はその後二つの大学(University of IowaとUniversity of Minnesota)の美術館を巡回しており、これはその際に発行された三館共通の図録。二人合わせて161点の作品が出品された展覧会ですが、図録はモノクロ図版を使った非常に簡素なものとなっています。
画像2:作家紹介(ルフェーブル画廊の作家紹介を転載)と出品作品リスト(75点)。 画像3:Mask(左)、All the Lonely People(右):「Mask」は雑誌『Design』の第245号(1969年)カバーアート(注1)として制作されたもの。 画像4:Midsummer Night's Dream(左)、Man Tree(右) 画像5:Encounter(左)、The Menace(右):「The Menace」は雑誌『Le Nouvel Adam』の第7号(1967年)カバーアート(注2)として制作されたもの。 画像6:Waiting(左):「Waiting」は雑誌『New Yorker』(Nov. 6, 1971) のカバーアート(注3)として制作されたもの。
注:
1. フォロンの雑誌カバー、1969年制作:[題名]Design(Council of Industrial Design, 245 May 1969),[サイズ]300x210mm,[技法]Offset,[出版社]The Design Centre, London,[刷り]Balding + Mansell Ltd, London
フォロンの雑誌カバー、1967年制作;[作品名]Le Nouvel Adam, Fevrier 1967 No.7:Les indicateurs de police en France,[サイズ]287x221mm,[技法]Offset,[発行]Le Nouvel Adam, Paris,[印刷]Les Petits-Fils de Léonard Dan
3 フォロンの雑誌カバー、1971年制作:[作品名]The New Yorker, Nov. 6, 1971,[サイズ]294x214mm,[技法]Offset,[出版社]The New Yorker Magazine, Inc., New York
|