フォロンのステッカー(貼り札/Sticker/Autocollant) |
フォロンのポスターを探索していると、時々、作品という範疇で括ることは難しいかもしれませんが、こんなものも作られていたのかという“もの”に出会うことがあります。今回取り上げるのも、そのようなもののひとつです。そのような-と自分で線引きしていただけのことですが-ものは、オリジナルというよりは、オリジナルから派生した物であり、オリジナルとして成立用件を満たしていない、という観点から、これまで避けてきたものです。そこには、物自体の大きさや数量、使用目的に対するある種の先入観というか偏見があり、そのことがポスターや版画に対するタブローといったような階層的な物の見方を自らさせていたのかもしれません。また、コミュニケーションツールとしてのデザインが、社会との関わりのなかで、その関係性をどうやって構築し、成立させているのか、といった面を重視してこなかった点も、捉え直す必要があると感じた次第。今後は、これらの“もの”が担っている機能はポスターと何ら変わらず、かつポスターの限界である場所の移動という優れた機能を併せ持つ、小さなポスターと位置付け、広報という意味合いを逸脱しないものに限って収集しようと思っています。まずはその第一弾として、四種類のステッカーを取り上げてみます。
欧州議会選挙の広報用ポスターと同時に制作されたものと思われます。ポスターでは画面の上にタイトル文字(青色)が配置されています。
フランス赤十字の広報用ポスターと同時に制作されたものと思われます。こちらはポスターの構図がそのまま使われています。
ワロン地域の観光促進のためのロゴとして制作されたもので、ポスターヴァージョンはありません。
国際NGO「国際運動ATD第四世界(Mouvement International Atd Le Quart-Monde)」は1957年、ヨゼフ・レシンスキ(Joseph Wresinski)神父によって、パリ近郊のノアジ・ル・グラン(Noisy-le-Grand)の避難キャンプに住む人たちとともに設立され、極貧の撲滅を目指し、現在世界30か国で、貧しい地域の子どもやコミュニティのために活動を行なっています。このステッカーは、国連による1985年の国際青年年制定の際に発行されたもの。