フォロンの表紙絵「Fiorella Mannoia-Tour 95」 |
1995年にイタリアの天然ガス供給公社スナム社(Snam)の後援で行なわれたイタリアンポップスの歌手、フィオレッラ・マンノイア(Fiorella Mannoia, 1954年4月4日ローマ生まれ)のコンサート・ツアーのプログラム。表紙をフォロンがデザインしており、スナム社がフォロンに依頼したポスターも紹介されています。コンサート・ツアーに際し、「Affiches de Folon-Fiorella Mannoia」というポスターも制作されているので、フォロンのポスターがコンサートの会場に展示された可能性もあります。
フォロンとスナム社とのコラボレーションは1991年に始まっており、テレビ広告用のアニメーションの制作を始め、スナム社後援のコンサートやキャンペーン用のポスターのデザイン、また同社のカレンダーのデザインも手掛けています。
何か大きな壁画を意識したような横長の構図で描かれた表紙は、背の中心を対称軸とする線対称の構図になっています。それは表と裏や朝日と夕陽、突き詰めれば生と死といったふうに、この世界の中で互いに分かち難くあるものの関係性を示しているかのように見えます。そこには、常にその一方において他方が内在されるという両義的な関係性に対するフォロンの視座が示されていて、ここではマンノイアの音楽(時間の芸術)とフォロンのイマージュ(視覚的に永遠の一瞬を留め置く芸術)が、詩的な構造、言い換えれば想像力というものの可能性のもとで分かちがたく結ばれているいることを指し示しているのではないかと思われます。