フォロンの絵皿「Anffas 1994」 |
12月に入った途端、31日という大団円を目指して時が一気に進みはじめることになります。クリスマスを始め西洋の行事は日本では経済的な動機付けの口実に使われることが多いのですが、子供たちにとっては、クリスマスは堂々と欲しいものをねだることが出来る千載一遇の機会、というように刷りこまれてしまっているのでしょうか。かく云う私も、子供の頃は、何かしらの矛盾を感じながらも、クリスマスは年に一度だけケーキというものを口に出来る日という捉え方をしていたようで、やはり“物(=欲望の対象)”と結びついていたことになります。高度成長期より序々に日本人にとっての幸福感は、合理的な説明の付きやすい物質的な欲望にすり替えられ、世の中すべてを欲望の対象と見るようになり、見えないものへの畏敬の念や畏れが人の心から次第に薄れていってしまったのかもしれません。そんなところにおこる慢心のようなものが、予期せぬ出来事が起きる度に耳にする“想定外”という言葉に集約されているようで、傲慢という他ありません。
食器としての皿ではなく、装飾品として使われるイヤープレートやクリスマス・プレートと言うと、日本ではデンマークのロイヤル・コペンハーゲンが有名ですが、同じコペンハーゲンに工場を持つミルハウス(Millhouse)が、1953年創業のイタリアの家庭用品のデザインと食料(特に有機栽培のもの)メーカーで、海外ブランドの配給も行なっているアッコルネーロ・グループの依頼で製作した1994年のクリスマス(?)プレートの図案をフォロンが描いています。この絵皿はアンファス(Anffas=Associazione Nazionale Famiglie Fanciulli e Adulti Subnormali:National Association of Families subnormal children and adults
)という1958年に設立されたイタリアの知的障害者家族全国協会のために製作されたようです。
フォロンの描いたサンタクロースは、今回紹介するもので三点目となりますが、雪の降りしきる夜に訪れたこのサンタクロースが手に持つ一輪の花は、何かのシンボルを表しているように思われるのですが、あまたの星が渦巻く銀河系宇宙のようにも見えなくもありません。