フォロンの雑誌カバー「Le Nouvel Observateur, No.163」(1967) |
前回に続き、今回もフォロンが表紙絵を手掛けたフランスの左翼系週刊誌『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール(Le Nouvel Observateur, No.163 du 27 Decembre au 2 Janvier 1968 )』を取り上げます。今回の表紙絵はフォロンが手掛けた二番目の作品ではないかと思われます。激動の年、その幕開けを直前に控えた1967年の最終号となる163号の表紙を見た印象は、不確実で何も見通せない世界の現状を見るかのような、放送終了後のテレビ画面を形容する“火星の砂嵐”を思わせますが、フォロンの意図は別のところにあるようで、赤褐色の大地に立ち、口を開き何かを言っているように見える人物が指差す空には、その口と呼応するかのように、太陽もしくは月と思われるものが浮かんでいます。それは見出しの言葉「あなたが1968年に語る(Vous en parlerez en 1968)」を視覚化したものかと思われます。本文では、1968年に予想される政治、経済、社会、科学、生活文化に関する様々な話題、そして世界的な関心事であり、全米で反戦運動が高まる中での対応を迫られるべトナム戦争のことも取り上げています。