フォロンのポスター「Jour du soleil」 |
1976年に設立されたフランスの環境保護団体「Espaces pour demain」は、1974年以降に環境保護主義者らによって作られ、1984年の「緑の党」の結成に至る、環境保護を政治目標に掲げる「エコロジー78」「エコロジー・ヨーロッパ」「今日の環境」といった環境保護団体とは異なり、自然の保全や遺産の保護と社会・経済的発展の両立(持続可能な発展)を目指す団体として、1979年、地域や管区全体の県の代表である3000人の会員、個人や法人(その内約50が企業パートナー)を持つ公益法人(正確には公益性承認非営利社団と言うのだそうですが)として、フランスの環境および青少年スポーツ省の認可を受けています。その「Espaces pour demain」主催の「Jour du soleil(太陽の日)」という環境保護に関する催しは、この年の夏至の日にあたる6月23日に行われています。参加した環境保護団体名やそのプログラムについては分かりませんが、日本にも支部のある環境保護団体「L'Amis de la Terre(Friend of Earth)」は、太陽と農業との関わりについての討論会を開いています。
フォロンが空に浮かぶ目を作品(水彩画)の主題として描くようになるのは1975年頃からのことで、1975年11月から翌年の1月にかけてスイスのジュネーヴにあるアルテル画廊で行われた個展では目をモチーフにした水彩画を何点も出品しています。ポスターでも、「Europalia France」(1975年)、「Artel Galerie Geneve」(1975年)、「Seconds etats generaux urbanisme architecture」(1976年)といった目を主題とする作品が制作されています。「Jour du Soleil」では、フォロンは太陽と目をひとつの円を使って同時に表わしており、「太陽は私たち人間を見にくる巨大な人物の目の中央部」であり、目は「未知の創造者の視線」と言うように、自然信仰、とりわけ太陽崇拝に近い考えを持っていたようで、太陽を、その意味において、創造主として表象しようとしています。もっとも、キリスト教の図像でも、“視る”という能力は神の属性とされ、神の創造主としての全能性はやはり“眼”によって象徴され、神の眼は光であり炎であり、太陽であるとされます。従って、世界の外側からすべてを見据えているこの眼差しは、人類全てに注がれてる創造主の愛であるのですが、それは取りも直さずフォロンの人間愛を反映したものであるとも言えます。ところが、私たちは時として、愛によって生かされていることを忘れ、私たちもその一部である自然を、文明という“死んだ森”を築くために破壊することがあります。それが愛の眼差しを地獄の劫火に変えてしまう行為であることは、歴史が何度も証明してきているのですが...。
空に輝く太陽から放たれている12条の光線は、太陽が一日という時間を作り出す装置であることを示しており、生命の有限性と、それが無限に繰り返されるものであることを含意しているかと思われます。