フォロンのオリジナル・オフセット(2)「Il Dissenso Culturale」 |
死刑反対のキャンペーン・ポスター「Contre la Peine de Mort」と同時に制作された「Il Dissenso Culturale」は、いわゆる“Biennale of dissent”(International and of the USSR)(国家間、またソ連との)意見の相違のヴィエンナーレと呼ばれ論争が巻き起こった1977年のヴェネティア・ビエンナーレの翌年に、ビエンナーレ当局の人権抑圧批判に抗議し、参加を拒否をしたソ連、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリーの作家に発表の機会を与えるため、それら東側の国の文化的な意見を相違そのものをテーマとし、イタリアの有力紙"Gazzetta del Popolo(人民日報というような意)”とヴェネティア・ビエンナーレ事務局の主催で開催された展覧会を告知するためのポスターです。
鳥になって、いつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたい、と語るフォロン。
フォロンが描いたのは、星型の目をした全身赤一色の鳥人間。その頭は格子状の鳥かごに閉じ込められていますが、開いた扉の外の世界に向かって、その目は輝き、嘴を開き泣き声を上げています。鳥人間は、身体は自由であっても、その頭は鳥かごに囲われ、自由にものを見たり、話したりすることができない、ソ連という国家の体制を、赤地に五芒星を配するソ連国旗のメタファーとしての鳥人間によって表わしています。容易に渡航許可を得る事が出来ない、赤い星が象徴する社会主義体制下にある東側の国の作家が、この美術展の開催は、彼ら自身の目で見、そして自らの口で語ることができる場となりました。