フォロニアム2024-02-09T18:15:33+09:00foloniumジャン=ミシェル・フォロンが残してくれたものExcite Blogフォロンの絵皿「Les Etoiles de l'l'Hôtellerie 2001」http://folonium.exblog.jp/33831412/2024-02-09T18:15:00+09:002024-02-09T18:15:33+09:002024-02-09T18:15:33+09:00foloniumフォロン:マルチプル画像1:フォロンの絵皿、2001年制作:[作品名]Les Etoiles de l'Hôtellerie 2001,[サイズ]Φ280mm,[技法]Céramique,[製造]Pillivuyt, Muhun-sur-Yèvre dans le Cher
以前フォロンがデザインを担当した、フランスのホテルやレストランの業界紙『Le Journal de l'Hôtellerie』の主催で毎年開催される、ミシュランガイド(Le guido Michelin)で新しい星を得たレストランを称えるフランス料理界の恒例のイベントである(Les étoiles de l'hôtellerie/(The stars of the hotel business)の2001年のセレモニーのメニュー(注1)を取り上げたことがありますが、それと同じイメージを使った絵皿を入手することができました。世に知れたポスター作家であるフォロンに依頼となれば、通常セレモニーを記念するポスターの制作となるところでしょうが、セレモニーが食に関するものであるという性格から絵皿の制作となったのかもしれません。絵皿は、フォロンの水彩による原画をもとに、磁器ならではの透明感のある軽やかな色調で仕上げられています。制作枚数は特に明記されていませんが、おそらくセレモニーの出席者向けに作られたものではないかと思われます。もしそうであればメニューと同じ330枚となります。
この絵皿の存在はベルギーの出版社(Kimera-Editions, Bruxelles)から2013年に刊行されたフォロンのバイオグラフィー「Folon - La Vie est un Voyage」によって知ったのですが、探してもなかなか見つかりませんでした。これまでに何度かフランス国内のパブリック・オークションに登場したことがあるようなのですが、手放す人が少ないのか、市場に現れることは滅多(!)にありません。今回入手した絵皿はフランスで食器を扱っている業者が数年前からネットで販売していたものなのですが、予算が合わず、ずっと眺めているだけでした。が、折角手元にメニューがあるのだからと、手持ちのポスターを手放して購入と相成りました。
1.フォロンがデザインした「Les étoiles de l'hôtellerie2001」のメニュー
画像6:フォロンのメニュー、2001年制作:[作品名]Les étoiles de l'hôtellerie 2001,[サイズ]420x296mm(A3),[技法]Offset,[紙質]Arches,[限定]330,[出版社]Le Journal de l'Hôtellerieet Restauration, Paris,[刷り]Unknown
このメニューはフランスのホテルとレストランの業界紙である『Le Journal de l'Hôtellerie』の主催で毎年(?)開催される、"Le guide Michelin"(ミュシュランガイド)で新しい星を得たレストランを称えるフランス料理界の好例のイベントである《Les étoiles de l'hôtellerie》の2001年度のセレモニーのメニューとしてフォロンがデザインしたものです。先ずこれを見て、フォロンの描いた一皿がメニューに載っている料理と関連性があるか否かは、フランス料理に造詣があるわけでもないので、判りませんが、フォロンが皿に盛られた四つの星の料理を使って示しているのは、そのセレモニーにおいて顕彰されたのでしょうか、皿の下に記された名前を見て分かるように、フランス料理界の星とも言えるミシェル・ゲラール(MichelGuérard, 1933-)、アラン・デュカス(Alain Ducasse, 1956-)、ロジェ・ヴェルジェ(Roger Vergé, 1930-2015)、ダニエル・ブールー(DanielBoulud, 1955-)という四人の三ツ星料理人です。ここでも赤と青を基調色とするフォロンらしい画面作りがされていますが、水彩絵の具の滲みを利用して作られた淡い諧調は、人の手の温もりを感じさせると共に、色彩の調和である料理を象徴的に表していると見れなくもありません。
スイスの腕時計メーカー、スウォッチ(Swatch, Biel)が発行したフォロンの三種類のピンズのうちのひとつ「Voir(見る)」(注1)。スウォッチが1985年から始めた「Swatch Art Special」シリーズのひとつとして1986年のキース・ヘリングに次いで1987年に発表されたフォロン デザインの三種類(Voir, Le Temps, Perspective)の腕時計の文字盤を象ったもので、時計と比べると、かなり暗い色調で仕上げられています。
]]>2024年に開催されるフォロン展「Folon: A journey in Brussels」http://folonium.exblog.jp/33780085/2024-01-09T18:30:00+09:002024-01-10T11:48:04+09:002024-01-10T11:48:04+09:00foloniumその他ベルギーの蒐集家に今年日本でフォロン展が開催されると知らせたところ、ベルギーのブリュセルでは2月から9月にかけて四つ(?)のフォロンの展覧会が開催されるとの情報が寄せられました。フォロンの包括的な展覧会ではなく開催地それぞれに特化した内容で行なわれるとのことです:
ブリュッセルのデザイン美術館で開催されるオリベッテイ社とフォロンとのコラボレーションに関する展覧会は既に2021年12月から2022年3月にかけてオリベッテイ社の工場があったイタリアのイヴレーア(Ivrea)にあるピア・アレッサンドロ・ガルダ市立博物館(Museo Civico P.A. Garda, Ivrea)で開催(注1)されていますが、今回もその美術館とオリベッテイ社の歴史資料協会(Museo Civico Garda et l’Associazione Archivio Storico Olivetti à Ivrea, Italie)の協力のもと開催されるとのこと。
注:
1.イタリアのイヴレーアで2021年12月から2022年3月にかけて開催されたフォロン展「Olivetti e l'arte: Jean Michel Folon(Exhibition from December 11, 2021 to March 27, 2022, Museo Civico P.A. Garda, Ivrea)」では図録が刊行されています。
]]>フォロン展開催の告知「Tokyo Station Gallery」http://folonium.exblog.jp/33678644/2023-12-10T17:48:00+09:002023-12-30T17:47:10+09:002023-12-11T11:27:04+09:00foloniumその他
画像1:1974年に毎日コミュニケーションズから刊行された日本語版の「La mort d'un arbre(邦題:木は死んだ)」松原俊郎訳、280x358mm。この画集は日本で刊行されたフォロンの唯一の画集です。フォロンの大規模な展覧会の開催を受け、図録とは別に新たな画集が刊行されるのを期待したいと思います。
]]>フォロンとトポール二人展の図録「Folon and Topor」http://folonium.exblog.jp/33556804/2023-10-28T14:54:00+09:002023-10-28T14:54:29+09:002023-10-28T14:54:29+09:00foloniumフォロン:展覧会図録画像1:フォロンとトポール二人展の図録、1972年制作:[作品名]Folon and Topor,[サイズ]203x205mm,[技法]Offset,[出版者]The Arts Club of Chicago, Il,[印刷]Unknown
フォロンは1969年にニューヨークのルフェーブル画廊(Lefebre Gallery, New York)でアメリカで最初の個展を開催しましたが、その三年後の1972年に再びルフェーブル画廊で二度目の個展を開催するとともに、シカゴで最初の展覧会を国際的な美術作品を展示する公共のスペース「アーツ・クラブ・オブ・シカゴ(The Arts Club of Chicago)」で1960年代からの友人ローラン・トポール(Roland Topor, 1938-1997)と二人展を開催しています。この展覧会はその後二つの大学(University of IowaとUniversity of Minnesota)の美術館を巡回しており、これはその際に発行された三館共通の図録。二人合わせて161点の作品が出品された展覧会ですが、図録はモノクロ図版を使った非常に簡素なものとなっています。
画像2:作家紹介(ルフェーブル画廊の作家紹介を転載)と出品作品リスト(75点)。
画像3:Mask(左)、All the Lonely People(右):「Mask」は雑誌『Design』の第245号(1969年)カバーアート(注1)として制作されたもの。
フォロンの雑誌カバー、1969年制作:[題名]Design(Council of Industrial Design, 245 May 1969),[サイズ]300x210mm,[技法]Offset,[出版社]The Design Centre, London,[刷り]Balding + Mansell Ltd, London
フォロンの雑誌カバー、1967年制作;[作品名]Le Nouvel Adam, Fevrier 1967 No.7:Les indicateurs de police en France,[サイズ]287x221mm,[技法]Offset,[発行]Le Nouvel Adam, Paris,[印刷]Les Petits-Fils de Léonard Dan
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フォロンの雑誌カバー、1971年制作:[作品名]The New Yorker, Nov. 6, 1971,[サイズ]294x214mm,[技法]Offset,[出版社]The New Yorker Magazine, Inc., New York
]]>フォロンの彫刻展の訪問帳「Folon Scultures - Abbaye de Villers-la-Ville」http://folonium.exblog.jp/33488979/2023-10-04T18:17:00+09:002023-10-05T19:54:50+09:002023-10-05T19:13:38+09:00foloniumその他画像1:フォロンの彫刻展の訪問帳、2020年制作、[題名]Folon Sculptures, Abbaye de Villers-la-Ville,[サイズ]210x146mm,[技法]Offset,[出版者」Abbaye de Villers, Villers-la-Ville,[印刷]Unknown
前にも書いたかもしれませんが、近年、フォロンの彫刻家としての活動に対する評価が高まっています。昨年の12月から今年の1月にかけて京都市の「白沙村荘ー橋本関雪記念館において開催された展覧会「FOLON Les sculptures photographies de Thierry Renauld(フォロン-ティエリ・ルノーの彫刻写真)」(主催: ベルギー王国 フランス語共同体政府 国際交流振興庁(WBI) 、 フォロン財団)(注1)も、日本で初めてのフォロンの彫刻に焦点を当てた展覧会でしたし、ヨーロッパでも彫刻に比重を置いた展覧会が立て続けに開催されています。今回取り上げるのは、そのうちのひとつで、2020年の10月から翌21年2月にかけてブリュッセルから30kmほどのところにある1146年設立のヴィレ=ラ=ヴィル修道院(Abbaye de Villers-la-Ville)の廃墟で、フォロン財団の協力のもと開催された展覧会「Folon Sculptures」の訪問帳です。少し前にフランス在住の蒐集家が送ってくれたものです。
画像15:表紙:裏表紙はフォロンの彫刻の作品集「Folon la sculpture/the sculptures/beeldhouwer」(Jean Michel Folon, Renzo Piano, Stéphanie Angelroth, Marilena Pasquali, Allison Michel, Marie Resseler & Isabelle Douillet-de Pange)2021, Fonds Mercator/Mercatorfonds/het Mercatorfonds, 300x225mm, 208 pp.の紹介文。
注:
1.この展覧会は2022年、ベルギーのワロン地域の政府機関(L'espace Wallonie-Bruxelles)で開催された展覧会「Folon Les Sculptures - Photographies de Thierry Renauld」を受けての企画展のようです。案内によると、フォロンの友人の写真家ティエリ・ルノー(Thierry Renauld)が1995年から2020年にかけて撮影した彫刻写真30点とフォロン財団より貸し出された小品中心の彫刻20点あまりが展示されました。
ワロン地域の環境大臣によるキャンペーンとして「2002, Année Wallonne de la qualité de l'air(2002、ワロン大気質年)」の告知用の絵葉書が配布されましたが、それにはフォロンがキャンペーン向けに2001年に制作した水彩画「L'air heureux(幸せそう)」が使われています。大きな赤い気球にぶら下がり、大空に昇っていく幸福そうな人々の姿を描いており、人物の色に呼応するかのような不思議な球体が気球と人物の周りに浮かぶ、夢幻的な光景となっています。しかしながら、そのようなユートピア的幸福感とは裏腹に、現実に迫りつつある危機として、気候変動の要因となる大気中を浮遊する汚染物質(オゾン、一酸化炭素、窒素酸化物、エアロゾル等)へ目を向けさせるために選ばれたものだとしたら...
フォロンは1965年創刊の週刊誌『Pariscope(パリスコープ)』(1965-2016)(注1)の依頼を受け、1965年と1966年に雑誌広告(注2)を何点か制作しています。パリ(Paris)と鏡(Scope)の合成語である『パリスコープ』はアメリカを代表する週刊誌『The New Yorker(ザ・ニューヨーカー)』のフランス版を目指し、毎週水曜日に発刊され、劇場、舞台、映画、音楽、芸術やパリの生活を鏡のように映し出す(案内する)小型の情報誌でした。
今回取り上げるのは創刊間もない頃かと思われる『パリスコープ』の大画面の見開き広告で、大判の写真週刊誌『Paris Match(パリ・マッチ)』に掲載されたものです。写真誌本体を入手していないので、正確な出版年は不明です。この広告には建築学校時代に培われた緻密なデッサン力が活かされており、画面全体を埋め尽くすのは、大きな日刊紙(注3)を広げ、帽子だけ覗かせる無数の名もない人物たちで、その中にひとりだけ(右側の画面中央より少し上)広告文にもあるように、正真正銘のパリジャンのための(...pour les vrais Parisiens)、誰もが読めるわけではない(tout le monde ne peut pas lire Pariscope)『パリスコープ』を楽しげな表情で見る人物が描き込まれています。
]]>フォロンの雑誌カバー『Design(Council of Industrial Design, 245 May 1969)』(1969)http://folonium.exblog.jp/33311424/2023-08-03T19:40:00+09:002023-08-08T17:57:52+09:002023-08-08T17:57:52+09:00foloniumフォロン:雑誌カバー
画像1:フォロンの雑誌カバー、1969年制作:[題名]Design(Council of Industrial Design, 245 May 1969),[サイズ]300x210mm,[技法]Offset,[出版社]The Design Centre, London,[刷り]Balding + Mansell Ltd, London
画像2:作家紹介
フォロンは1969年、ニューヨーク市での初めての個展をルフェーブル画廊(Lefebre Gallery, New York)で開催し、その後何度も同画廊で個展を行なっています。この年、フォロンはイギリスとアメリカのデザイン関係の雑誌『Design(Council of Industrial Design)』と『Print(America's Graphic Design Magazine)』の表紙をデザインしていて、このうち前者についてはフォロンのバイオグラフィー『Jean-Michel Folon Biographie - La vie est un voyage』(Kimera-editions, 2013)に図版が掲載されています。ところが巻末に付けられた雑誌のカバー・アートのリストには、オリジナル・デザインであるにも拘わらず、両者ともに記載がありません。
この表紙絵では、色彩にまだ抵抗のあった頃のフォロンが、視覚的に強烈なインパクトを与える効果があることから、好んで用いた青と赤の対比による作画を行なっています。ここで描かれているフォロンの主要なモチーフのひとつである矢印は、フォロンの実体験に基づいており、それは1973年にアリス出版から刊行された水彩画集「La mort d'un arbre」の序文で次のように述べられています。「中世では、ある場所からほかの場所に行くには馬が一頭あればよかった。今日パリからブリュッセルに行くには千以上の矢印が必要だ、わたしはその矢印を数えてみた。矢印はたえず現われ、消えてゆく。私にとって矢印は生き物になってしまった。彼らと会う約束があるかのように、私は彼らがどうなっているかを見に行く...」(「木は死んだ」松原俊朗訳)。そこには都市文明の不条理さに翻弄される人間の運命に対するフォロンの眼差しがあって、あたかも人間の行き先や人生をも指図するかのように絶えず現れる都市における矢印の不気味な恐怖を、暗い背景の中に正面を向いて立つ、憤怒の形相の人物像として表現したものとして見ることが出来ます。但し、フォロンは見る人それぞれの解釈に委ねており、見方を強要するものではありません。
画像3:フォロンに関する記事「Vision of manipulated man」by Gilles de Bure and François Barré
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]]>フォロン展のポスター「Le monde de Folon - Saline royale d'Arc-et-Senans」http://folonium.exblog.jp/33287360/2023-07-30T17:05:00+09:002023-07-30T17:05:54+09:002023-07-30T17:05:54+09:00foloniumその他フォロン展のポスター、2023年制作:[作品名」Le Monde de Folon,[サイズ]420x300mm,[技法]Offset,[発行]Saline royale, Arc-et-Senans,[刷り]Simon Graphic, Ornans
現在フランス東部ドゥー県のアル=ケ=スナン市(Arc-et-Senans)にある王立製塩所(Saline royale)で開催中(11月5日まで)のフォロン展の告知用ポスター。オリジナルとの混同を避けるためか(?)、滅多に使われないサイズ(420x300mm)となっています。デザインは先に取り上げた展覧会の”訪問帳”(Canet de visite)と同じで、価格は€2,50(約380円)。
フォロン展の訪問帳、2023年制作:[題名]Carnet de visite: Le Monde de Folon,[サイズ]210x148mm,[技法]Offset,[発行]Saline Royale, Arc-et-Senans[印刷]Simon Graphic, Ornans
]]>フォロンのポスター展「Les Affiches de Folon」http://folonium.exblog.jp/33287375/2023-07-23T19:42:00+09:002023-07-30T17:18:15+09:002023-07-30T17:18:15+09:00foloniumその他フランス在住の蒐集家からフォロンのポスター展に関する情報が届きました。それによると、去る6月2日から今月1日にかけて、フランス西部のロワール・アトランティック県にあるコミューンのひとつサン=セバスティアン=シュル=ロワールにある市庁舎(Hôtel de ville, Place Marecellin Verbe, Saint-Sébastien-sur-Loire )で、フォロンのポスター展が開催されたとのこと。
案内によると、フォロンが1961年に最初に手掛けた画家出身のモーリス・ピアラ監督の映画ポスター「Courts-métrages de Maurice Pialat(モーリス・ピアラの短編映画)」(注1)から2005年にフィレンツエ(Forte di Belvedere, Sala d'Arme di Palazzo Vecchio)で開催された大規模な展覧会の告知用ポスター「Folon Firenze」(注2)までの40点を展示とあります。日本でもこの程度の規模の展覧会なら、低予算で開催可能ではないでしょうか。
注:
1.フォロンが最初に手掛けたポスター「Courts-métrages de Maurice Pialat」(1961)
2.フォロン最後のポスター「Folon Firenze」(2005)
参考文献:「Folon. Les Affiches(フォロンのポスター集)」(Les Cahiers Dessinés, Paris, 2020)
フォロンのポスター集、2020年制作:[作品名]Folon. Les Affiches,[サイズ]306x246mm,[技法]Photogravure,[出版社]Les Cahiers Dessinés, Paris,[刷り]La Buona Stampa SA, Pregassona, Lugano et Salvioni SA, Bellinzona, Ticino, Switzerland
]]>フォロンのポスター「Olympic Games Barcelona 1992」http://folonium.exblog.jp/33251516/2023-07-15T20:06:00+09:002023-07-16T17:15:43+09:002023-07-16T17:15:43+09:00foloniumフォロン:ポスター画像1:フォロンのポスター、1990年制作:[作品名]Olympic Games Barcelona 1992,[サイズ]700x500mm,[技法]Offset,[出版者]COOB'92 S.A.(Comitè Olímpic Organitzador Barcelona 92 SA ),[刷り]Unknown
フォロンが1992年にスペインのカタルーニャ自治州バルセロナで開催された第25回夏季オリンピック競技大会(Games of the XXV Olympiad Barcelona 1992)の広報用のアーティスト・ポスター部門(注1)のデザインを依頼され、制作したのがこのポスター。フォロンは1984年に旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国のサラエボで開催された第14回冬季オリンピック競技大会の広報用ポスターもデザイン(このときの原画は銅版画で制作)しており、二度目の依頼となります。デザイナーとして選ばれた14人のアーティストはそれぞれが抱くオリンピックのイメージを視覚化していますが、当然のことながら、抽象画家がデザインしたポスターは何の競技なのか、また何をシンボライズしたものか分かり難くなっています。その中で、フォロンのデザインしたポスターは非常に判りやすい情報を盛り込んでいます。フォロンは古代オリンピックの陸上競技である古代五種競技から現在へと続く「やり投げ」をモチーフに選び、原画を水彩で描いているのですが、投擲を行なう競技者を描くにあたり、1974年に制作した6点組のシルクスクリーンの版画集の内の「A la mémoire d'une plume V -Silence(ペンの思い出5-沈黙)」で描いたモチーフ(注2)をもとにしており、五大陸の団結を表すとされる五輪の色によって彩られた背景や競技者の足元にはトラック競技のためのラインが引かれています。このポスターを目にするとき、パウル・クレーが生み出したような、詩的に響きあう色彩の調和と美しさに目を奪われてしまいます。たとえそれがポスターに目を向けさせるために用意されたものであったとしても。
4種類の公式スポーツ・ポスター(Official sports poster)のデザインは以下の4人のアーティストが担当: Josep M. Trias, Javier Mariscal, Enric Satué and Antoni Tàpies
8種類の画家ポスター(Painter's poster)のデザインは以下の8人のアーティストが担当しています:Êduardo Arroyo, Antoni Clave, Eduardo Chillida, Jean-Michel Folon, Josep Guinovart, Robert Llimós, Guillermo Pérez Villalta and Antonio Saura
図版:フォロンのシルクスクリーン、1974年制作:[作品名]A la mémoire d'une plume V -Silence, [サイズ]630x900mm(image:520x600mm),[技法]Silkscreen,[限定]90,[出版者]Editions Empreintes,[刷り]Atelier Empreintes
]]>フォロンのワイン・ラベル「Clos Saint Paul」http://folonium.exblog.jp/33230227/2023-07-09T12:43:00+09:002023-07-10T13:38:45+09:002023-07-10T13:38:45+09:00foloniumフォロン:エフェメラ
画像1:フォロンのワイン・ラベル「Clos Saint Paul, 2010」(98x65mm)。心配になってしまうくらいワインに関する様々な情報が何も記されていない非常に簡素なデザインのワイン・ラベル
画像2:フォロンのワイン・ラベル「Clos Saint Paul, 2012」(98x65mm)。同上
画像3:フォロンのワイン・ラベル「Domaine Saint Joseph - Clos Saint Paul, 2017」(99x80mm)。ラベルの紙質とデザインを一新し、通常通りの規格となった。この年のワインはJulien Bertainaのドメーヌで1200本限定で瓶詰されたとある
画像4:フォロンのワイン・ラベル「Domaine des Claus - Clos Saint Paul, 2021」(99x80mm)。この年の白ワインもJulien Bertainaのドメーヌで瓶詰めされた
]]>フォロン展開催中「Exposition Le Monde de Folon」http://folonium.exblog.jp/33216798/2023-06-29T19:08:00+09:002023-07-02T13:39:43+09:002023-07-02T13:39:43+09:00foloniumその他現在、フォロン財団所蔵の200点の作品によるフォロンの大規模な展覧会「Le Monde de Folon」が1982年にユネスコの世界遺産に登録されたフランス東部ドゥー県のアル=ケ=スナン市(Arc-et-Senans)にある王立製塩所(Saline royale)(注1)で開催されています。会期は5月5日から11月5日まで。先日、ベルギーの友人と共に会場を訪れたフランス在住の蒐集家が、来館者に用意された『訪問帳(Carnet de visite)』他を送ってきてくれました。感謝!!! 内容はゲーム形式でフォロンの人となりやバラエティに富んだ作品の理解を深めるための豆知識や設問が、図版や写真とともに幾つも用意されています。
画像1:フォロン展の訪問帳、2023年制作:[題名]Carnet de visite: Le Monde de Folon,[サイズ]210x148mm,[技法]Offset,[発行]Saline Royale, Arc-et-Senans[印刷]Simon Graphic, Ornans
画像2:表紙を広げたところ
画像3:「フォロンって誰?」
画像4:「会場で見ることの出来る彫刻は、どれ?」
注:
1.アル=ケ=スナンの王立製塩所は、創造力豊かな建築家クロード・ニコラ・ルドゥ(Claude Nicolas Ledoux, 1736-1806)が計画した半円形の大規模な製塩所で、ルイ15世の認可を受け1775年から1779年の工事を経て完成された産業建築物の傑作です。1982年に単独でユネスコの世界文化遺産に登録されました。現在建物は博物館や資料館として利用されており、クロード・ニコラ・ルドゥの博物館は、ヨーロッパで唯一建築家に特化した博物館となっています。
]]>フォロンの展覧会図録「Folon a Lucca(2)」http://folonium.exblog.jp/33154737/2023-05-27T19:23:00+09:002023-06-09T12:08:11+09:002023-06-09T12:08:11+09:00foloniumフォロン:展覧会図録画像1:フォロンの図録、2003年刊行:[題名]Folon a Lucca,[サイズ]300x235mm,[技法]Offset,[出版社]Maria Pacini Fazzi eitore, Lucca, [印刷]Lito-tipografia Cursi, Pisa
今から20年前の2003年5月11日から6月22日かけてフォロンの主に1990年以降の作品を紹介する大規模な展覧会がイタリアはトスカーナ州ルッカ県(Provincia di Lucca)のコムーネのひとつルッカ(Lucca)にあるドゥカーレ宮(Pallazo Ducale)を会場に行なわれた際に刊行された図録。今手元にあるのは二代目で、最初に手に入れたものは、某著名人宛ての献辞と共に、表の見返しと略標題紙(half title page)の両ページにまたがって描かれたデッサンが添えられていました。最近それとよく似たデッサンが添えられたものをフランスの画廊のサイトで見つけたのですが、私が購入したときの四倍以上の900ユーロ(約13万円)の値が付けられているのを見て驚きました。ソフトカバー仕様の図録は巻きカバー(ジャケット)付きで、カバーの”袖”が大きく取られており、それにも前後に分けてフォロンの展覧会に向けての手書きのメッセージ(画像3参照)が記載されています。