フォロンのメダル「Medaille Perce-Neige Pyrénées」 |
スペインのバスク地方と接し、ミネラルウォーターの採水地としても知られ南フランス・ピレネー山脈西部に位置するピレネー=アトランティック県の村、オジュ・レ・バン(Ogeu-les-Bains)。その自然豊かな地にリノ・ヴァンチュラ(Lino Ventura, 1919-1987)によって1988年に設立された精神障害を持つ大人のための避難所「Association Perce-Neige Pyrénées, Ogeu-les-Bains)。その設立に際して発行された記念のメダルのデザインをフォロンが行なっています。モチーフとなったのは協会の名前の由来となった待雪草(ペルス・ネージュ)です。このブログでも何度か取り上げていますが、フォロンはそれまでにも、雪景色の中、可憐な白い花を咲かせる待雪草を差し出す手を描いた、協会のバッジやメニューなどのデザインを手掛けています。
今回のメダルは、フォロンが1985年にフランス国立宇宙研究センター(CNES=Centre national d'études spatiales)による生物医学実験を目的とするフランス人宇宙飛行士のナサ(NASA)のスペース・シャトル計画(ミッション:STS-51-G)二度目の搭乗を記念してデザインしたメダルと同じ、純度95%という錫で鋳造されており、待雪草の白をハイライトにしてきたそれまでのデザインとは一変し、灰色一色という、私たちが持っているイメージを壊しかねない暗い表情をしたものになっています。それは、装飾性よりも、刻まれた意匠そのものに重きを置くという、メダルの性質からくるものなのでしょうか。