フォロンの雑誌カバー「Le Nouvel Observateur, No.110(du 21 au 27 Decembre 1966) |
1966年のクリスマスシーズンに発行されたフランスの左翼系週刊誌『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール(Le Nouvel Observateur, Paris)』第110号。フォロンが同誌から依頼された二番目(注1)の仕事だったのではないかと思われます。表紙をフランスを代表するポスター作家レイモン・サヴィニャック(Raymond Savignac, 1907-2002)とポスター作家としてはデヴュー間もないジャン=ミシェル・フォロン(Jean-Michel Folon, 1934-2005)が担当しており、表表紙はもちろん(?)先輩格のサヴィニャックが受け持ち、フォロンは裏表紙です。ただ、同誌のこの時期(1966年~1968年)の表紙は、正方形の枠に囲まれた円形のフォーマットを用い、そこに写真やイラストレーションを組み込むというデザインを採用していたので、その倣いに従えば、フォロンのデッサンが表表紙を飾る筈だったのかもしれません。しかし、見ての通り、フォロンのデッサンはクリスマスらしい華やかさに欠けるところがあり、そこで、これはあくまでも推測に過ぎませんが、急遽、サヴィニャックに白羽の矢が立てられたのではないでしょうか。サヴィニャックのデッサンはその求めに十分応えるものであり、ヨーロッパを初めとする主要国の国旗を繋げた旗を用いて円形のフォーマットも演出しています。
注:
1.
この年賀状は以前取り上げたときには1960年代初頭の制作ではないかとしておりましたが、『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の表紙に描かれている右上の天使の羽の描き方やポーズに共通性が見られるので、同じ時期に制作されたのかもしれません。